久米島の伝統行事のひとつ。十六日祭(ジュウルクニチ)。
本土にいる久米島人も、旧暦のお盆と同じくらいこの日に合わせ帰省する人も多いそうです。
長男の島嫁として、初めてこの十六日祭を迎えた時は、驚きの連続でした。この島の大イベントを楽しみにしているという子どもも多いそうです。
それでは、東京出身の島嫁が、久米島の十六日祭のようすをご紹介します。
季節特集
2016.03.07
[久米島]十六日祭
ご先祖様と過ごすお正月
writer : 糸数麻美
ご先祖様のお正月
十六日祭と漢字で書くと「祭」が入っているので、祭り=神社で御神輿わっしょいのイメージをされる方もいると思いますが、そうではありません。
十六日祭りは、毎年、旧暦の1月16日に行われる島の伝統行事。グソー(あの世)のお正月で、先祖供養をするとても大切な日。ご先祖様の眠っている沖縄独特の大きなお墓の前には、たくさんの花やごちそうが並び、家族や親戚が集まり、うーとーとー(手を合わせてお祈り)をして、ご先祖様にごあいさつをするのです。
十六日祭の台所
ごちそうを手作りしている家庭は、当日、朝早くからお母さん達は大忙し
です。
沖縄のお祝いごとなどでは、日常的に食べられているオードブル。ですが、東京出身の私にはとても物珍しいごちそうです。スーパーや飲食店でもオードブルの注文ができるので、十六日祭は、お店も大忙しだそう。
こちらがそのオードブル。義理母さんとおばぁの手作りです。
お祝いに欠かせない三枚肉やかまぼこ・豆腐・ゴボウや昆布の煮物・あとは、子ども達の好きなものを入れています。具を入れる数も奇数と決まりがあるそうです。他にも、お赤飯のおにぎりやあんこが入った白いお餅などもお墓の前に並べますが、各家庭や地域によっても中身は違うようです。
沖縄のお祝いごとに欠かせない郷土料理、中身汁(なかみじる)。
こちらは、おそば入りの中身汁。
豪華な料理や花を持ち、地域ごとにお墓参りの時間も決まっていて、実家は、午後15時過ぎにみんなでお墓に向かいました。
賑やかなお正月
お墓に到着後、お供えをして、家族全員でご先祖様にうーとーとー。
親戚のお墓も多いので、男の人達は、周りのご先祖様へのごあいさつも欠かせません。
本土のお線香とはまた違う、こんなお線香を持参して、別のお墓へと向かいます。
ごあいさつが終わると、子ども達も大喜び。輪になって、オードブルを食べながら、ご先祖様と一緒にお正月をお祝いします。
昔は、十六日祭に合わせ、お年玉を渡していたそうですが、我が家の子ども達はちゃっかり正月と十六日祭、2回もお年玉をいただいていました。
久米島の大切な伝統行事。
ご先祖様を大切にしている心温かい久米島人を誇りに思います。
スマートポイント
- 沖縄本島などでは、清明祭(シーミー)と呼ばれる伝統行事もあるそうですが、久米島では、十六日祭に先祖供養としてお墓で過ごしている家庭がほとんどだそうです。
- 十六日祭の前後は、島外から来るお客さんも多いので、飛行機も臨時便が出るほど。久米島空港からタクシーなどの交通機関もまた混み合うそうなので、時間に余裕を持って移動して下さい。
- この日は、学校も午後からお休みになるので、子ども達も伝統行事に参加しています。
ライターのおすすめ
十六日祭は、島人の大事な伝統行事なので、飲食店などお休みのお店も多いようです。1年に1度の大切なイベントなので、十六日祭に久米島滞在の方は、島の伝統もぜひのぞいてみてください。
糸数麻美
東京出身。元旅行代理店カウンター勤務。島で唯一のベビーシッターが、魅力いっぱいの久米島をご案内します。