花火は始まるのか?
さて、雨は止まない。
雨と言ってもかなりの小雨だから、
カッパを着ていればさほど気にはならないんだけど。
どうしたものか…と思っていたら、意表をついて花火が始まった。
轟音とともに夜空に浮かびあがったどでかい花火。
今までの待ち時間のもやもやが一気に吹っ飛んで、
無意識にほっぺたが緩んで笑ってしまった。
まずは会場の一番端っこ、
客席も一番遠い海側の堤防前から花火を眺める。
この場所の良さは海面に映る花火が見れるということ。
でも今日は、違った風景がそこに見れたんだ。
波と風の模様
今日は風が強めだった。
花火が上がるたびに、
しだれて残った光の粉がキラキラと回転しながら一方向へ流れていく。
花火が海面を照らすとそのキラキラと共に
風で波立った海が、その動く波模様を従えて同じ方向に流れていく。
全体が動いていてすごい流動感だ。
花火だけでなく光も音も風も波も、
ここでは全体で一つの動く立体的アートになっていた。
会場を移動して、他の花火ポイントを探してみる。
歩いているとあちこちから外国語が聞こえてくる。
英語に混じり、アジア系の言葉も聞こえる。
海外でも花火はあり「Fireworks」と呼ばれ人気だが、
日本の花火はレベルが違う。
それにこの「海炎祭」は輪をかけてすごいんだ。
大音響で流れる音楽と、アートプロデュースされた花火の祭典。
様々な音楽によって雰囲気を変えていく花火は
豪華絢爛な大迫力を持って、
真下で見ている私たちに光のベールとなり覆い被さってくるようだ。
沖縄に包まれて
浜辺と階段の上の、少しフラットになっている場所があいていた。
ここからはどんな風に見えるんだろう。
そこで始まったのは沖縄の名曲を流す「沖縄パート」。
はじめに地元の有名歌手、ジョニー宜野湾さんの
「ケ・セラ・セラ」の生歌でゆったりと花火が上がりだす。
そこから何曲か流れ「平和の琉歌」、「花」へと続く。
このイベントでいつも感じるのが、花火と言葉(曲)を通して
しっかりとメッセージが投げかけられているということだ。
今日は沢山の外国人も来ている。
様々な時代を経て、隣り合わせに座って花火を見上げている私たち。
心に届くのは哀しくも美しい沖縄の、力強い包容力だ。
最後に移動したのは
コンベンションセンターのモニュメントがある高台。
そこでモニュメントの向こうに広がる花火を望む。
デザイナーのコシノジュンコプロデュースの花火は、
荘厳なオペラに合わせたゴージャスなものだった。
その音楽に銀色のモニュメントが奇しくもぴったりとマッチし、
なんとも言えない異空間が出来上がっていた。
それに混ざっての雨つぶ、世界観はかなりヤバし。
写真はアーティスティックで異空間的に 全景を切り取り、
そこにある世界を映し出す。
打ち上がった。完全に。
今回の海炎祭は雨が不思議に好影響して、
かなりのインパクトを持って心に届いた。
空間をダイナミックに物語る「海炎祭」。
次回はどんな刺激的表情を 魅せてくれるのだろうか。
文章 Hinata
写真 Yoshiaki Ida