観光シーズンには多くの人が訪れる石垣島。実は、その市街地から車で15分ほどの場所に、訪れる人も少ない遺跡がひっそりと眠っています。
史跡や歴史ある場所が好きな方は、今からおよそ700年ほど前の14世紀前半から16世紀にかけて栄えたとされるフルスト原(ばる)遺跡を訪れてみましょう。
そこには悠久の歴史を感じさせる、静かな時間が流れています。
観光
2019.11.18
writer : 光森裕樹
観光シーズンには多くの人が訪れる石垣島。実は、その市街地から車で15分ほどの場所に、訪れる人も少ない遺跡がひっそりと眠っています。
史跡や歴史ある場所が好きな方は、今からおよそ700年ほど前の14世紀前半から16世紀にかけて栄えたとされるフルスト原(ばる)遺跡を訪れてみましょう。
そこには悠久の歴史を感じさせる、静かな時間が流れています。
フルスト原遺跡は、旧石垣空港の傍にあります。2013年に空港が白保に移転してからは、観光場所としては少しばかり縁遠くなったかもしれませんが、市街地からの近さに変わりはなく、気軽に行ける魅力的な遺跡です。
多くのカーナビや携帯電話の地図アプリでは、遺跡に南から入るルートと、北から入るルートの二つが提案されます。
こちらは、390号線から遺跡の南側へと続く小道への入り口です。幹線道路沿いなので入り口自体はとても目立つのですが、その先の道はかなり複雑で、農道に入る必要もあるためおすすめできません。
こちらは、タナドー線から遺跡の北側へと続く小道への入り口です。こちらにも案内看板が出ているので分かりやすいですね。ここからは一本道なので、迷うこともありません。
こんもりとした森の道がしばらく続きます。「本当にこの先に何かあるの?」と不安になりはじめたころに…
フルスト原遺跡の空間が一気に開けます!
この瞬間には、何度訪れても感動させられますね。
フルスト原遺跡は、14世紀前半から16世紀にかけての遺跡です。石灰岩塊の石の囲いはどこか沖縄本島の今帰仁城跡を思わせますが、城郭ではなく集落としての機能が主だったようです。
石の囲いは「石塁(せきるい)」と呼ばれ、遺跡内に15箇所が確認されており、復元作業が進められています。
例えばこちらは平成13年に復元された「3号石塁」。渦巻状に並ぶ囲いが特徴的です。一体どのように使われていた場所なのか、それぞれの石塁のかたちや大きさから様々に想像が膨らみます。
ときには、遺跡を整備されている方がおられることがあるので、その邪魔にならないように見学しましょう。
遺跡は木々に囲われていることもあり、自然の豊かさが感じられる場所でもあります。11月になっても、ちらほらと蝶を見ることができました。
石垣島の歴史を振り返る時、1500年に琉球王朝に対する乱を起こした大浜の豪族オヤケアカハチの存在は欠かせません。一説には、アカハチはこの集落に居を構えたともされますが、正確なことは分かっていません。ただ、両者の時代が重なるのは確かなので、例えばアカハチがこの集落を訪れたことはあるかもしれませんね。
市街地の近くにありながら、周囲から隔絶された静かな場所なので、タイムスリップしたような気持ちになります。それだけに、今この場所に誰も住んでいないことが不思議に感じられます。
木々の間から大浜海岸越しの宮良湾が見えます。この集落に暮らしていた人も、時々はこうして海を眺めたのかもしれません。
数百年前の人々と同じ色の海を共有していると考えると、親しい友人と一緒にいるような、なんだか温かな気持ちになりますね。
静かな時間をたっぷり味わってから、遺跡を後にしました。
※こちらは、公開日が2015年12月11日の記事となります。更新日は、ページ上部にてご確認いただけます。
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ライターのおすすめ
フルスト原遺跡から見下ろす場所にある大浜海岸までは、車ですぐです。海岸のそばに駐車場があるので、時間があれば砂浜を歩いてもいいですね。大浜小学校付近のオヤケアカハチの碑や像からも比較的近いです。
光森裕樹
歌人。様々な土地を旅する中で石垣島に惹かれて移住。のんびりとした豊かな時間を感じるための情報をお届けします。