那覇市の北西、およそ58km。数ある沖縄離島でも、「渡名喜島(となきじま)」は、お隣の久米島や、人気の慶良間諸島とは異なり、観光スポットとしてはほぼ無名の離島です…。それでも少し歩いてみると、集落や、海に山では、観光客が少ないからこその環境が残ります。例えば、赤瓦古民家はもちろん、樹齢300年からなるフクギ並木や夜の外灯。のびのび暮らす猫や気ままに舞う蝶。そこかしこに咲き誇る鮮やかな色合いのハイビスカスや南国の象徴ブーゲンビレア。いくつもの高台から広がる絶景や自然と一体化する散策道。そして数多のウミガメが暮らす美ら海…。
そう。沖縄本島ではほとんど見られないレアなシチュエーションが目白押し。写真好きにはたまらないシャッターチャンスがそこかしこに転り、カメラ片手のスナップ散歩にぴったりです。とっておきの撮影ポイントをちょっとだけご紹介しましょう。
観光
2016.01.04
ハロー!フォトジェニックさん
渡名喜島でお気軽スナップ散歩
writer : 小川研
集落で島の暮らしを切り取る[古民家・花・静物]篇
何といってもまずは、国の「重要的建造物群保存地区」に選定されている集落を歩きます。
随所に残る赤瓦古民家は、それだけでも画(え)になります。しかし、思い切って赤瓦“のみ”にフィーチャーするのもおもしろいかもしれません。
また、白砂の路地を彩るハイビスカスやブーゲンビレアといったカラフルな花々は石垣などとの相性もばっちり。当然のことながら絞りを開いて、構図を意識しながらあれこれトライしてみてください。正面光よりはサイド光くらいがナチュラルなイメージを醸し出してくれます。
他にも、家の入口などに時々見かけるススキの魔除け「柴差し」もこの島ならでは。もちろん、集落を包む鎮守のフクギによる並木道では奥行きを追求してみましょう。他にも、細部に目を凝らせば、オブジェクトはたくさん。島の素朴な生活をそっと切り取ってみてくださいね。
自然や海の神々しさに触れる[海・山・緑・岩]篇
お次はイントゥ・ザ・ワイルド、自然に挑戦です。まずは美しい海を自由に撮ってみましょう。
渡名喜島には、あちこちに高台があり、最大で160m級の山も。
中には、散策道が整備されているところもあるので、ちょっとしたトレッキング感覚で楽しめます。
おすすめは、集落から徒歩圏内の二つの絶景スポット。東側の「上ノ手展望台」(上)と最北部の「西森園地展望台」です。景観撮影は、階段や通路の奥行きを利用すれば、S字の構図などダイナミックな画が期待できます。
暑さ対策を万全に、かつ足元はハブに充分気をつけて挑みましょう。
また、少し歩けばすぐに気がつきますが、いたる所で奇岩の数々が目につきます。
他離島ではお目にかかれない不思議な造形は何とも神秘的。特に海上で抜群の存在感を誇る「神の宿る岩(イェーンジシ)」は、島でも有数の観光ポイント。確実におさえたいですね。
動く生物達との出逢い[蝶々・猫・ウミガメ・ヤシガニ]篇
島ではさまざまな生物達も生息しています。例えば、集落内では多くの野良猫が、人々と共に暮らしています。石垣の上で見せるちょっとした仕草など観察しているだけでおもしろい。
野に出れば、各種蝶と出合うでしょう。蜜を吸う間、一つの花にとどまるのでそこを激写です。
海辺では、よく海上に目を凝らすと、なんとウミガメの目撃も(それも頻繁に)。静かに移動する黒い塊を見つけたら、できるだけ近づき、息継ぎの瞬間を狙ってシュート。レンズは望遠がベストですが、ない場合手持ちのズーム機能をフル活用。難しいですが、数を撮れば中には思い出の1枚も。
夜も狙い目。運良く野生のヤシガニと出合えたら、ストロボ光は弱めに、カメラを地面すれすれ、ヤシガニと同じ目線に下げできる限り近づくことで、迫力ある写真に! ただし、夜の撮影はハブを始め危険がいっぱいなので、必ず島の人に同行してもらいましょう。
昼間とは全く別の表情を魅せる夜の世界[外灯・星空]篇
ヤシガニに出合えずとも、せっかく夜撮影に繰り出したなら、島名物の「フットライト」に挑戦しなければ片手落ちです。もちろん三脚は必須ですが、高さを変えたり道の中央や端に置いてみるなどあれこれ試してみましょう。コツとしては、ブロック塀など人工物をできるだけ避けて、草木や石垣を入れ込むことで、雰囲気ある画作りが可能に。
そして最後に。天気が良い日は満天の星空が!
星の撮影は最難関ですが、ポイントはピントです。最も明るい星になんとかフォーカスさせればこっちの物。シャッタースピードは最大13秒程度に抑えること。加えて、夜空だけでは何のことだか分からないので、赤瓦屋根の端など何かしらを必ず手前に写し込みましょう。それだけで、ぐっとドラマティックな画に仕上がりますよ。
良い写真が撮れれば、沖縄旅行の思い出もひとしお…。
一眼レフを持ってる方はぜひとも観光がてら、カメラ片手にスナップ散歩を楽しんでくださいね。
スマートポイント
- 渡航は、泊港からの久米島行きフェリーのみ。オフシーズン(11〜3月)は、本数も減りますので、運行スケジュールをよく確認してくださいね。
HP:http://www.kumeline.com/index.html - 島内で展望台などを巡るには、レンタサイクルでは厳しくレンタカーが欠かせません。ただし、業者は1店のみで、台数も決して多くは無いため、特にオンシーズンは借りられない場合もあるので、覚悟しておきましょう。
- 島内に商店は三つ。ただし、気まぐれで営業していたりしていない店もある。また、集落や港付近から外れると自動販売機もないので、少し遠出をする場合は、水分補給のための飲み物をお忘れなく。
ライターのおすすめ
集落も自然も少し目を凝らせば、シャッターチャンスに溢れている渡名喜島。特に、夜の外灯(本文)と「朝起き会」という早朝掃除は、島の2大名物。ぜひ一晩泊まって、お気に入りの画(え)を切り取って下さいね!
小川研
世界を歩きまくって醸成されたオンリーワンのフィルターを媒介し、沖縄情報を立体的に熱(苦し)く伝える。