石垣島の熱い風を感じながらのドライブは楽しいですよね。
レンタカーでぐるっと島を一周する観光客の方はとても多いです。
川平湾や平久保崎の灯台など、島には有名なスポットがたくさんありますが、忘れてはいけないのが市の天然記念物「吹通川(ふきどうがわ)のヒルギ群落」。
うまく干潮を狙って行くことができれば、立派に伸びたヒルギの根やのんびりとひなたぼっこを楽しむカニ達を見ることができますよ。
観光
2016.02.22
writer : 光森裕樹
石垣島の熱い風を感じながらのドライブは楽しいですよね。
レンタカーでぐるっと島を一周する観光客の方はとても多いです。
川平湾や平久保崎の灯台など、島には有名なスポットがたくさんありますが、忘れてはいけないのが市の天然記念物「吹通川(ふきどうがわ)のヒルギ群落」。
うまく干潮を狙って行くことができれば、立派に伸びたヒルギの根やのんびりとひなたぼっこを楽しむカニ達を見ることができますよ。
島の北側に位置する吹通川のヒルギ群落へは、市街地からまっすぐ向かうのなら於茂登トンネル経由なら車で40分ほど。
もちろんヒルギ群落だけを見ても楽しいのですが、ここはやはり、島を一周するプランに組み込むのが一番!
カーナビや携帯端末の地図アプリを利用する場合、「ヒルギ群落」で検索すると島内のいくつかの場所がひっかかります。吹通橋の近くにあるヒルギ群落を目的地にセットしましょう。
吹通橋のそばにある駐車場に着きました。
平久保崎灯台や玉取崎展望台からヒルギ群落を目指す”反時計回り”に島を一周するコースの場合、吹通橋だと気づかずに通り過ぎてしまいがちなので、十分ご注意を。”時計回り”に島を一周するコースの場合には、伊土名の集落を抜けてすぐの場所だと覚えておけば、見落とすことはなさそうです。
写真の時間帯はちょうど干潮の時間帯。川沿いにびっしりと木々が茂っているのが分かりますね。
「ヒルギ」という言葉になじみはなくとも、「マングローブ」なら誰しも耳にしたことがあると思います。
マングローブは、熱帯や亜熱帯の河口付近など、潮の満ち引きのある場所に分布している植物の総称。その個別の植物のひとつがヒルギの仲間です。
川沿に蛸の脚のような根を伸ばしているのは「ヤエヤマヒルギ」。
近くに寄ってみました。干潮でも幹を力強く支えるこの根は「支柱根」と呼ばれています。
根が比較的まとまっているのが「オヒルギ」。写真の手前に地面を突き破るように根の一部が飛びているのが見えますね。折り曲げた人の膝のように見えることから「膝根(しっこん)」と呼ばれており、酸素の少ない泥中において、ヒルギの呼吸を助けます。
所々に落ちているこれは何でしょう…
答えはオヒルギの萼筒(がくとう)です。付近をよく探すと、萼筒を帽子のように被った胎生種子が見つかります。
ヒルギ以外に目を向けてみましょう。干潟に広がる粒状の泥のかたまりは何でしょうか?
忍び足で近づいてみると…
泥のかたまり付近にある穴からひょっこりとカニが出てきました!
泥のかたまりはカニが有機物を濾し取った跡。そう、吹通川のヒルギ群落はカニの王国なのです。
カニは何種類もいるのですが、こちらは「ヤエヤマシオマネキ」。オスのハサミの一方が大きくなっており、じっと見ていると大きく振りかざします。その様子が潮を呼び寄せているようで、このような名前がついています。
こちらは「ミナミコメツキガニ」。からだは球状に近く、蟹であるにもかかわらず前後にも移動することができます。多くの群れをつくることから「軍隊ガニ」と呼ばれることも。
俊敏なシオマネキと比べると動きはゆっくりとしているので、近寄ってじっくりと見ることができますよ。
たくさんのカニを見ることができる吹通川のヒルギ群落ですが、できる限り干潮に近い時間帯に訪れるのがベストです。
写真は吹通橋から撮影した干潮時の風景です。
これが満潮時には…
このようになります。
干潟であった場所の多くが水面下になりますので、シオマネキなどを見るのはさすがに難しくなります。
こちらは吹通橋の下を干潮時(上)と満潮時(下)に撮影したものです。向かって左手が海側ですが、満潮時には橋を抜けて海に行くには水に入る必要が出てきます。
石垣島を一周する途中で立ち寄ることが多いと思いますので、満潮・干潮に合わせるのは難しいかもしれませんが、少し意識してみると一層楽しいドライブになりますよ。
吹通橋の下を抜けて、潮の引いた海岸を歩いてみました。干潮時には岩沿いを歩くことで、砂浜をかなり遠くまで行くことができます。
引いた潮が砂に残した独特の模様が面白いですね。石垣島の自然が生み出す一風変わった自然が楽しめる吹通川のヒルギ群落。機会があればぜひ立ち寄ってじっくりと見てみてください。
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ライターのおすすめ
今回の記事は冬場である1月に訪れたものです。夏場になると川辺ではミナミトビハゼが見られ、海辺では小さなヤドカリたちを見ることができますよ。ヤエヤマシオマネキのはさみもより大きく育っています。
光森裕樹
歌人。様々な土地を旅する中で石垣島に惹かれて移住。のんびりとした豊かな時間を感じるための情報をお届けします。