せっかく沖縄の石垣島という離島にまで来たのに、あくせくとした時間を過ごしていませんか?
食べあるきや泳ぐことに疲れたら、空港への行き帰りに気軽に立ち寄れる大浜海岸がおすすめ!
東部には海岸沿いに散策路が敷かれ、西部にはオヤケアカハチの像や花の咲き乱れる崎原公園があります。観光客はそれほど多くなく、地元の人々が憩いの時間を楽しんでします。ゆったりとした雰囲気の中で、心をリフレッシュさせましょう。
観光
2016.05.27
writer : 光森裕樹
せっかく沖縄の石垣島という離島にまで来たのに、あくせくとした時間を過ごしていませんか?
食べあるきや泳ぐことに疲れたら、空港への行き帰りに気軽に立ち寄れる大浜海岸がおすすめ!
東部には海岸沿いに散策路が敷かれ、西部にはオヤケアカハチの像や花の咲き乱れる崎原公園があります。観光客はそれほど多くなく、地元の人々が憩いの時間を楽しんでします。ゆったりとした雰囲気の中で、心をリフレッシュさせましょう。
大浜海岸は石垣島南東部、国道390号線沿いに広がる海岸です。宮良湾に注ぐ磯部川河口からマエサトビーチまでが海岸保全区域に指定されています。
市街地から空港へ向かう際には、海沿いを宮良・白保方面に進む場合と、「新空港への迂回路」と呼ばれる内陸路を進む場合がありますが、そのちょうど合流地点に海岸への入り口があります。空港への行き帰りの途中で気軽に立ち寄れる便利な場所ですね。
駐車場にあるスロープを上がると、砂浜沿いに散策路が伸びています。
散歩道はここから磯辺橋までおよそ300mほど続いています。島南部の浜としては比較的珍しく、白くてさらさらとした砂浜となっていますが、そのいっぽうで野草が力づく茂っているのがなんとも石垣島らしい風景です。
海水浴場として整備はされておらず、遊泳は推奨されていない場所ですが、さまざまな動植物を見ながらゆっくりとした時間を過ごすことができます。散歩やジョギングを楽しむ地元の人達をちらほら見かけることも。
石垣島は自然豊かな場所ですので、大浜海岸でもさまざまな動植物を見ることができます。ここでは、取材に出かけた際に見かけたものをいつくかご紹介。
写真の左は「テッポウユリ」。4月から5月にかけて八重山地方で見ることができる島の代表的な植物のひとつです。海辺の断崖に咲いていることが多く、こちらの花も大きな岩の上に咲いていました。
写真の右上は「ハマヒルガオ」ですが、この花は日本各地でおなじみかもしれません。右下の「シマコガネギク」は浜辺のアクセントのように咲いていたもの。黄色い花がかわいらしいですね。
写真上段の鳥は「ムナグロ」。潮が引いた後の干潟をちょこちょこと散歩しています。夏羽となると胸から腹面が黒くなることからその名がつきましたが、写真はまだ羽根が生え変わっていない姿ですね。
写真下段は「ナキオカヤドカリ」。指先ほどの大きさの小さなヤドカリで、夏場には浜辺のいたる所にいます。近づくとすぐに殻の中に身をひっこめるのですが、そのまま砂や岩場の上をころころと転がり落ちる音があちらこちらから聞こえます。こう見えても立派な国の天然記念物ですので、そっとしておきましょう。
季節と時間帯が異なる2枚の写真を用意してみました。
こちらは春先あたりの干潮時の風景です。春先とはいえ、すでに砂浜の場所にも野草がたくましく生えてきているのがわかるかと思います。干潮時には、海面下にあった藻類も顔をのぞかせるため、一面が青々しい印象があります。真夏にかけて野草はぐんぐんと成長するため、砂浜を散歩するのはすこし難しくなりますので、用意された散策路を歩きながら動植物を眺めるのが良さそうです。
こちらは冬の満潮時の風景です。動植物はずいぶんと減りますが、浜を覆っていた野草もなくなりますので散策路から砂浜に降りるのは楽です。満潮時には、干潮時に見えていた荒々しい岩も見えなくなります。
夏と冬、満潮と干潮とで海岸の表情はかなり変わります。一度訪れた後でも、ふたたび別の機会に訪ねてみると新しい発見があるかも。
海岸東部の散策路とは続いていませんが、海岸西部には崎原公園があります。国道390号線を市街地方面に進んですぐの大浜公民館を左に曲がった先ですので、迷うことはありません。
崎原公園は芝生と色鮮やかな花々が育てられている、島内では比較的コンパクトな公園です。大浜小学校横にあるため、地元の子ども達が駆け回っていることが多いようです。
公園近辺は15世紀の豪傑オヤケアカハチと縁が深く、その像や碑が建てられています(像や碑については記事「大浜村の豪傑オヤケアカハチの碑を訪ねて」に詳しくまとめていますので、合わせてご覧ください)
公園の角には津波大石(つなみうふいし)と呼ばれる、約2000年前の大津波で陸地に打ち上げられた岩があります。巨大なサンゴ石灰岩の上に樹木が生い茂っており、その姿には圧倒されます。
海岸にぽつぽつとある大きな岩のいくつかも、時代こそ異なりますが津波によって海底から運ばれてきたものだとされています。
余裕があれば崎原公園から海岸に出てみましょう。海岸西部には地層がこまかく積み重なった奇岩が見られます。そのひとつには「オヤケアカハチの足跡」とされる窪みがあります。ちょうど写真の手前にあるもので、大人の足の3倍の大きさがあります。いったいどこにあるのか、形を見比べながら探してみましょう。岩は滑りやすいので、十分に注意してくださいね。
また、崎原公園はヒメキランソウの花畑でも知られています。ヒメキランソウはシソ科の植物で、台湾から九州にかけて分布しています。通年は3月の中旬から下旬にかけて、紫の小さくてかわいらしい花が一面に広がるのを見ることができます。その時期自体は短いですが、チャンスがあれば見ておきたいですね。
大浜海岸を含めた石垣島の南に面した海岸では、2月から4月あたりの春先には南十字星を観測できることも。写真は崎原公園付近の堤防に貼られた、「南十字星観測時刻表」です。
南十字星は宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』ではサザンクロス駅として登場することで知られています。石垣島からは海面付近にしか姿を現しません。よく晴れた夜でも海面付近は薄雲が重なりやすいので、観測するのはやや難しいかもしれません。本州ではその全体の姿を観ることのできない星座ですので、機会があればぜひ星空を眺めてみましょう。
散策路と崎原公園あたりは、まだまだ観光客が少ないスポットです。石垣島の豊かな時間を体験するには持って来いの場所ですので、旅行の途中でふらっと寄ってみると、きっと素敵な思い出になりますよ。
スマートポイント
ライターのおすすめ
海岸から車で5分ほどの場所に、16世紀にかけて栄えたとされる フルスト原遺跡がありますので、時間があれば足を延ばしてみましょう。一説にオヤケアカハチとの関係があったとされる静かな遺跡です。
光森裕樹
歌人。様々な土地を旅する中で石垣島に惹かれて移住。のんびりとした豊かな時間を感じるための情報をお届けします。