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観光観光

2016.08.09

郷愁の時空に癒やされて…
西表島“陸の孤島”「船浮」

writer : 小川研

八重山諸島最大の西表島には、一周道路はありません。島のおよそ半分を通る外周道路の県道215号も、起点となる白浜が西のデッドエンド(南は南風見)。しかしその奥にある、“陸の孤島”と呼ばれる、幻の地?をご存知でしょうか。人口およそ50人(2016年7月現在)、西表島で最も西の集落「船浮(ふなうき)」へのアクセスは、白浜港からの定期船のみ…。気が遠くなるような場所にある、まさに最果ての秘境。いったいどんな世界が広がっているのでしょうか?
陸の孤島船浮

昔ながらの営みが素朴に残る郷愁の時空

白浜港からおよそ10分。外離島・内離島を右手に見つつ、船浮港に到着です。港の目の前はそこがもう集落。数えるばかりの小さな路地に、昔ながらの素朴な生活が営まれています。
港の風景
最初に申しておきますが、船浮には派手な観光スポットはありません。そこにあるのは古民家、すーじぐゎー(小路)、小学校、公民館、御嶽(うたき)など。まるで古にタイムスリップしたかのような時間…。あるいは世界から隔絶されたような空間…。少し大げさかもしれませんが、失われし古の情景が素朴に残ります。どこか切ない郷愁とともに…。何をするでもなく、ただそこにいる。それだけで、いつかどこかに置き忘れて来た、かけがえのない何かを思い出させてくれる、そんな気にさせられます。
タイムスリップしたような空間

イリオモテヤマネコ発見・捕獲の地

ところで、西表島といえば、国の天然記念物のイリオモテヤマネコが知られていますね。何を隠そう1965年に、新種かつ固有種として最初に発見・捕獲されたのが、この船浮の地でした。それを記念した木製のささやかな碑が、港を出て右手数十メートル先にある「西表館」前に、ひっそりと立っています。
イリオモテヤマネコ発見記念碑
その隣のカマドマ広場には、古い巨木「クバデサ」や、石碑「カマドマの碑」が見受けられます。もしかしたら、こちらが船浮で一番の見所かもしれません。
緑豊かな風景

高まる人気に少しずつ増える宿泊施設や飲食店

決して大きくない集落は20分もあれば見て回れるでしょう。ちなみに、白浜〜船浮間は、一日5〜6便(季節によって異なる)が往復しているため、西表島北部の上原あたりに宿を取るなどすれば日帰りでも十分楽しめるでしょう。しかし、それでも、この地の真の魅力を知るには、やはりひと晩過ごすことをおすすめします。
素朴な家屋
“陸の孤島”とはいえ、近年高まる人気・知名度とともに、特に夏期は観光客も増えてきました。そのため、ここ数年で宿泊施設や食事処も整いつつあるので、ことさらの不便は感じさせません。
食事処
宿泊施設

集落の裏手に広がる手付かずの天然海岸に絶句…

そしてもう一つ。集落を北西に徒歩約10分。藪道を抜けた先に広がる、天然の海岸「イダの浜」にも足を運んでみてください。
イダの浜
全長およそ300〜400m。穏やかに弧を描いた湾内に、遠浅の海岸が広がります。秘境の更に奥地…というだけに、夏期でも人影は数えるほど。もちろんトイレもシャワーもありません。ちなみに、岸から少し先にはサンゴも群生しています。透明度も高いため、シュノーケルも楽しめるでしょう(ただし、監視員などはもちろんいませんので、海に入る場合は、自己責任の元、安全第一で)。文明の影を感じさせない原初的な美しさに、きっと心を奪われるでしょう。誰に邪魔されることもなく…
美しい海辺
失われし古の情景に、手付かずの美しい海辺…。“陸の孤島”船浮とは、喧騒とは無縁のノスタルジックな楽園。そう呼ぶに相応しい、八重山でも唯一無二の、特別な場所でした。
美しい浜辺の風景

スマートポイント

ライターのおすすめ

知られざる僻地の生活を知るには、住民と語るのが一番です。特におじぃ、おばあは優しくイロイロと教えてくれますので、積極的に話しかけてみてくださいね。

小川研

世界を歩きまくって醸成されたオンリーワンのフィルターを媒介し、沖縄情報を立体的に熱(苦し)く伝える。

INFORMATION最新情報は、各施設の公式ウェブサイト等でご確認ください。

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