川満マングローブは、ドライブ中に手軽に寄れる小さな緑のオアシスです。
マングローブの規模は、島内の島尻マングローブ林や八重山諸島の群生の規模に比べるととても小さいのですが、箱庭のような空間は、ドライブの途中でほっと一息つくのにぴったりです。
マングローブ林の中の木製の遊歩道をゆったりとお散歩すれば、南国特有の自然と暮らしの一端に触れられます。
そして車が行きかうこんな国道添いの住宅街に隠れるように、ひっそりと存在する緑の空間に驚かされます。
旅の途中の緑のオアシス、川満マングローブで深呼吸してみませんか?
観光
2017.04.12
[宮古島]川満マングローブ
何もない小さな箱庭で深呼吸
writer : 砂川葉子
川満マングローブへのアクセス
川満(かわみつ)は、その名の通り、川=湧き水が多く水に満ちた土地です。集落の南にのぞむ与那覇湾からは海の幸を得て、ウプカーと呼ばれる井戸が人々の生活を支え命を繋ぎ、集落は発展していきました。
ウプカーと集落の水の神様であるウプカー御嶽と与縄湾を繋ぐ小さな細長い入り江に川満マングローブがあります。
川満マングローブは、宮古島空港から国道390号線、通称下地線を下地地区方面に進む道沿いの住宅地に隣接してあります。
観光バスも立ち寄る観光地でありながらも、何の標識も案内看板もないので、うっかり見落としそうです。
目印となるのは、点滅信号ぐらいでしょうか?信号を越してすぐ右手側に小さな駐車場があり、その奥が小さな入り江に川満マングローブが広がっています。
川満マングローブでほっとひと息
マングローブとは、川と海がつながり、海水と淡水が混じり合う泥土に生える植物群の総称のことで、「海の森」とも呼ばれています。
宮古島には、島尻マングローブ林や伊良部島に群生しており、川満マングローブではヤエヤマヒルギ、オヒルギ、メヒルギなどが確認できます。
比較的わかりやすい特徴があるのが、オヒルギです。
オヒルギには、タコのような赤い花のがくが見受けられます。
そして、ヤエヤマヒルギは支柱のような一本の幹の根元から裾が広がるように何本も根が出ています。
遊歩道の途中には、展望デッキとあずまやが設けられています。
ベンチとテーブルもあり、マングローブを眼下に見渡しながらのひと息も南国的です。オオゴマダラなどの美しい蝶々、水辺に降り立つ野鳥たち、マングローブに憩う生き物達を感じながらゆったりと過ごせます。
川満マングローブから与那覇湾へ
展望デッキの先で遊歩道は2股に分かれます。
左手の遊歩道を進むと途中で石造りの道に変わります。
ここは引き潮であれば行き来できますが、満ち潮の時は水の中に沈んでいるため元の道に引き返すしかありません。
この道は、干潟とマングローブの気根との距離が近くなりついついわき見をしがちですが、石が滑っているため滑りやすいので注意してくださいね。
マングローブが小さな木陰を作ってくれるので、生き物を探したり観察にももってこいです。シオマネキやミナミトビハゼなど干潟の小さな生物は
それぞれの遊歩道も先は、一般道と交わり、その向こうには与那覇湾が広がっています。
河口近くには、ヤエヤマヒルギが見受けられ、青い海にたたずむ姿はまた南国的です。
またここでサンセットタイムを過ごすのもおすすめですよ。
マングローブのシルエットが浮かび上がる夕日もまた南国的で、サンセットタイムでの散策もいいですね。
川満ウプカーと川満マングローブ
川満マングローブに隣接する形で、川満ウプカーと呼ばれる井戸があります。
この井戸から湧く水は海へと流れ出しているため、この小さな入り江は海水と交わり、汽水域となりマングローブが生息しているのです。
それは、この川満ウプカーの水量の豊富さはまさにこの地の名を表し、そして独特の生態系を作り出ているのです。
川満マングローブでも、川満ウプカーでも、こんな風に地元の方が網を仕かけているのが見られました。ここは島の人にとっては、今も昔も暮らしと密接につながる場所なのです。
川満マングローブは有名な観光地とは言いがたく、何か特別なものがあるわけではありませんが、そこにある島の営みと自然は、つい急ぎ足になりがちな旅の時間を緩やかに変えてくれる、そんなスポットです。
スマートポイント
- 川満マングローブは、看板もなくメジャーな観光地ではありませんが、国道390号線沿いにありドライブの途中に寄りやすいスポットです。
- マングローブとは、川と海が繋がり、海水と淡水が混じり合う泥土にはえる植物群の総称のことで、「海の森」とも呼ばれています。
- 宮古島では川満マングローブ以外にも、島尻マングローブ林、また伊良部島でもマングローブが見られます。
ライターのおすすめ
島尻マングローブ林もそうですが、潮の満ち引きによって、表情が違って見えるのがこのスポットのおもしろさです。
砂川葉子
岐阜県出身、宮古島諸島のどこかの小さな島に在住。農業と民宿業、島興し業と並行してライター業にも携わる。