「東ヤマトゥガー」(あがりやまとぅがー)は、島南側の海に面する巨大な割れ岩で、粟国島の観光名所となっています。そこは自然が生み出した造形で、とてもスリリングな光景です。岩の割れ目を抜けて、下まで降りて行けるよう階段と手すりが整備されており、その先には、いわゆる「沖縄の観光地」とはまったく異なる風景が広がっています。右奥には、数十年前まで使われていたという「簡易水道施設跡」がひっそりと残り、遺跡のような雰囲気もあって、その空気感は直接見に行ってこそ!
観光
2017.09.06
[粟国島]岩の向こうは異空間
名所「東ヤマトゥガー」
writer : ミヤモトマリ
まずはその造形を上から堪能
島の玄関口、粟国港から海沿いの道を車で約3分、徒歩でも20分ほど西に上がった場所にある東屋と駐車場が目印です。
集落内を走るコミュニティバスなら「前バル原(めーばるばる)クラブ」のバス停で降り、観光地をつなぐ路上の緑のラインに沿って海側へ徒歩5分くらいです。
駐車場横の道を緑のラインに沿って進みます。途中、ゴールが見えないほどの急斜面ですが、そのまま下りていくと看板とベンチが現れます。
そこから見下ろす海の様子も時間帯によって違った表情を見せており、満潮時は海がすぐそこまで迫っています。
干潮時はリーフの割れ目が透けて見えます。
そこかしこに火山の痕跡を感じられる岩場
その右手にあるのが巨大な割れ岩「東ヤマトゥガー」です。その通り道は大人が両手を広げれば届く狭さ。
あちこちに石が転がっています。落石に注意しながら進みましょう。
よく見ると、割れ目を造り出している壁は一枚岩ではなく、数センチほどの石の集合体であることがわかります。
粟国島は海底火山の噴出物の堆積、そしてその隆起によってできた島といわれており、その痕跡をあちらこちらで見ることができます。間を抜けると、そこには黒っぽい岩に囲まれた、いわゆる「観光地」、「沖縄」とは違った光景が広がっています。
タイムスリップしたような空間がそこに
周辺は、白い砂浜ではなく、火山の名残を感じさせる黒い石や溶岩のような地質を見ることができます。
そしてそれらが連なり、奇妙な光景を生み出しています。
さらに右側へ進むと、数十年前まで使われていた「簡易水道施設跡」が何かの遺跡のようにひっそりと残されています。
壁に直接刻まれたその軌跡は時間が止まったかのような不思議な雰囲気を醸し出しています。
このあたりは観光名所として紹介されることがほとんどないため、訪れる人も少なく、静かに過ごすことができる場所です。
潮の干満でまったく異なる海 隠れたシュノーケルスポット
このあたりの波打ち際は砂浜ではなく、「磯」という言葉がしっくりくる小石の浜。
干潮時にはサンゴが露出し、イノーと呼ばれるサンゴ礁に囲まれた浅瀬が広がります。
所々に現れる水槽のような窪みは天然の水槽のようで、水族館で見るような熱帯魚に出会えることも!干潮時は波もなく、島民の隠れたシュノーケルスポットとなっています。
スマートポイント
- 急坂の下にも車を切り返せるスペースはありますが、傾斜がきついので、車や自転車は上の駐車場に置いて、歩いて下りるほうが安全です。
- 写真を撮るなら、夕方よりも東からの日が当たる午前中からお昼頃がオススメです。また、満潮と干潮で水位がまったく違うので、時間を調べて複数訪れるとその変化を楽しめます。
- シュノーケルをしない人も、干潮時は小さい魚からやや大きいものまで、歩きながら見ることができます。滑りにくい靴(あればマリンシューズ)を履いて、潮だまりをのぞいてみましょう。
ライターのおすすめ
穴場感満載で、本当は内緒にしておきたいスポット。ただ、海水浴場ではないため、監視員もいません。携帯電話はキャリアによって圏外になりますので、特に海に入る時は複数で、安全を確保して遊びましょう。
ミヤモトマリ
埼玉県出身。沖縄好きの「島マニア」で、2016年粟国島へ移住。沖縄&離島の魅力をお伝えします。