沖縄の焼き物、通称・やちむんを扱う店舗の並ぶ、壺屋やちむん通り。
現代風に整備されてちょっと味気ないこの通りも、一歩裏手に入れば
昔の沖縄らしい情緒あふれる風景を目にすることができるのです。
観光
2024.10.28
壺屋やちむん通りを
歩くなら、一歩裏手!
writer : 牧
大通りを歩き終わったら、裏路地に飛び込んでみよう!
こちら、那覇の壺屋大通りこと、やちむん通り。
店先を見回しながら歩いていると、400m弱の道のりは
あっという間に終わってしまい、「あれ?これだけかぁ」
と呟き立ち去る観光客の姿を見かけることがよくあります。
ちょっと待った!壺屋の醍醐味は、この一歩先にあるんですよ!
というわけで今回は大通りから踏み込んで
裏路地を散策していきましょう。
通りから入ってすぐに見られる大物
壺屋焼物博物館のすぐ近くから一歩踏み込むと、
今はもう使われていないボロボロの登り窯が見えてきます。
これは「南窯(ふぇーぬかま)」と言って、
琉球王府が壺屋のやちむん職人のために与えた窯なんだとか。
昔の職人たちは自分だけの窯を持っておらず、
こうした共同の窯でやちむんを焼いたそうですよ。
南窯の隣には、黒い壺がたくさん転がっています。
なんだろうと思って博物館の方に聞いてみると、
これは厨子甕(ずしがめ)と言って、昔の骨壺なんだとか。
必要とされなくなってここに放置されているのですが、
過去には傘立て用に持ち帰った人がいたんだとか。
いやいや、骨壺だと知っていたらとてもそんなこと出来ないですよね?
焼き物の里ならではの風景も
ふと視線を落とし足元を見てみると、
白い道路に彩りを添えているのはやちむんのカケラたち。
窯から出して、割れたものを再利用しているのでしょうか?
こちらは隙間なくぎゅっと張り付けられて、完全に井戸と一体化。
他にも、やちむんのカケラはまちの随所を飾り、
訪れる人たちの目を楽しませてくれます。
焼き物の里らしい、とても素敵なアイディアですね。
小さな通りにあふれる緑
裏手に細く迷路のように伸びている小路には、とにかく緑が多いんです。
壺屋の風景は全体的に白が多くて、
沖縄の強烈な太陽を反射してたまらなく眩しいのですが、
あふれる緑がそれを優しく抑えているようです。
こちらは壺屋公民館の入口。
緑が美しい・・・というより、もはや鬱蒼と茂った森。
この先に公民館があるなんて!
こんな珍風景まで
大通りには焼き物屋しかないのですが、
路地裏には15近い工房、窯元があります。
育陶園という工房の前を通りかかると、若い職人さんがコトリと
シーサーの頭にトックリらしきものを置いていきました。
「これ?乾かしてるんだよ。」
店先にあるシーサーの頭の上で焼きを待つその様子に、
沖縄のゆるりとした空気を感じずにはいられませんね。
わわっ!
三叉路に据え付けられた石をよくよく見ると、それは顔だった!
しかも割れたシーサーの頭が手前にちょんと置かれています。
見えない魔物への畏怖の念が感じられませんか?
壺屋はやっぱり、一歩裏手がおもしろい
綺麗に整備された大通りとは違い、
車も通れない小さくて不便な裏路地の町並み。
でも、壺屋の本当のよさはこの不便な場所に凝縮されているんです。
もし壺屋を訪れても、大通りだけを歩いて
壺屋に来たことにしちゃいけませんよ?
裏路地を歩いてこそ、このまちの醍醐味を十二分に味わえる、
というものなのですから。
※こちらは、2015年3月22日公開の記事となります。更新日はページ上部にてご確認いただけます。
※記事中の写真は取材当時のものとなります。
牧
JTRIP Smart Magazineライター。高知県出身、2006年より沖縄在住。