吹通川(ふきどうがわ)のヒルギ群落は、石垣島北部の伊土名の集落付近に位置する。吹通橋そばの駐車場より河口に降りることができ、ヤエヤマヒルギやオヒルギなどが広がるマングローブを見ることができる。干潮時に現れる干潟では、ヤエヤマシオマネキやミナミコメツキガニなどのカニ類やミナミトビハゼなどが見られる。ツアー会社が催行するカヤック・カヌーツアーに参加することで、吹通川を遡りつつ自然を観察するのも楽しい。
吹通川のヒルギの見分け方
吹通川のヒルギ群はいくつかのヒルギによって構成されている。「ヤエヤマヒルギ」は蛸の脚のようにおおきく広げた支柱根(しちゅうこん)が特徴的である。「オヒルギ」は、ヤエヤマヒルギと比べると根の広がりは小さいが、その周辺の泥地には膝根(しっこん)と呼ばれる特殊な根が点在しているのが観察できる。膝根は酸素の少ない泥中において、ヒルギの呼吸を助ける役割を果たす。
天然記念物の吹通川のヒルギ群落
吹通川のヒルギ群落は1973年に天然記念物として市の文化財に指定されて
いる。環境省レッドデータブックにおいて準絶滅危惧種に指定されているエビやカニ類が多く棲むなど、複雑なバランスで成り立つ自然豊かな場所であるため、不用意に環境を変えるような行為は禁止されている。
満潮時よりも干潮時がお勧め
満潮時には干潟であった場所の多くが水面下に沈むため、カニ類などを観察することが難しくなる。また、干潮時には吹通橋の下をくぐって海辺へゆくことができるが、満潮時には吹通橋より先に進めなくなる。ヒルギ類の発達した根を見て楽しむためにも、干潮時刻付近に訪れたい。