江戸時代から風光明媚な場所として浮世絵にも描かれることの多かった向島。明治の最盛期には料亭の数は200、芸妓さんも1,000人ほどいたという賑やかな花街でした。今でも花見のシーズンには、桜茶屋などが置かれ、往年の賑わいを感じることができます。その向島に江戸末期に創業した言問(こととい)団子。名物はもちろん「言問団子」。創業以来多くの文人に愛されたというお団子の人気の秘密に迫ります。
お土産
2019.11.14
江戸時代からのロングセラー
「花よりだんご」の言問団子
writer : ハタレイコ
平安時代の和歌から名前を取った風流なお団子
江戸時代末期に植木職人の外山佐吉氏がはじめた茶屋が起源の言問団子。六代目が引き継いだ今も隅田川畔に店を構え、お団子を販売しています。お花見シーズンにはお団子を求めて長蛇の列ができるそうですよ。
名にしおはば いざ言問はむ 都鳥
我が思ふ人は ありやなしやと
伊勢物語で有名な在原業平が、武蔵の国隅田川畔で詠んだ有名な歌にちなんで「言問団子」という名をつけたのは明治元年。以来、味も名も気の利いた東京土産として、多くの人に愛されています。
串に刺さないまんまるのお団子
お団子というと串に刺してあるものを思い浮かべますが、言問団子は違います。初代がお茶会用に使ったというお店の由来や、遣唐使が持ち帰った団子の起源という「団喜(だんき)」にならい今の形が引き継がれています。直径約3センチのお団子はしっとりときめ細やかです。
3つのお団子それぞれの味
江戸時代までは米粉のお団子を包んだ小豆餡、白餡のみでしたが、明治になって、青梅を模してクチナシで黄色くした白玉粉でみそ餡を包んだものが加わり、3色となりました。小豆や手亡(てぼう)豆を丁寧に炊いたこし餡の繊細な甘みや、白餡にみそをブレンドしてほのかな塩味がアクセントのみそ餡、3種それぞれの美味しさが楽しめます。
お団子だけじゃない、おすすめのお土産は言問最中
昔ながらの製法を守って何も添加していないお団子は、日持ちがせず当日限り。それでもこの味をお土産に、とのお客様の声から大正末期に考案されたのが「言問最中」。とは言うものの、日持ちは製造日から4日。売り切れることもあるので、2~3日前に予約を入れると確実です。
出来立ての最中は、ぜひ店内で
言問団子の由来の和歌に出てくる都鳥はゆりかもめ。その姿を形どったかわいらしい最中の皮も、店内で手作り。そのためか、よそではなかなか味わえない香ばしさ。最中もお団子同様に注文を受けてから作るので、できたてをお店でいただくと、パリパリと香ばしい皮としっとり甘い粒餡のコントラストが楽しめます。最中は白餡と小豆餡の二種類。団子の餡とは違い粒を残しているため、豆の旨みがより感じられるようです。
多くの文人も愛した味
言問団子は、竹久夢二の著書にも出てくるように多くの文人のファンがいたそうです。店内にある展示コーナーには、それをあらわす品々が飾られています。「花よりだんご」の色紙には、宇野千代さんや「赤毛のアン」を翻訳した村岡花子さんなどのサインが。今も昔も女性はスイーツには目がないんですね!
※こちらは、公開日が2015年12月21日の記事となります。更新日は、ページ上部にてご確認いただけます。
スマートポイント
- 桜のシーズンは、テイクアウトとイートインの二つの列ができるほどの混雑。このシーズンは、9時の開店直後がおすすめ。隅田川沿いに桜を見ながら朝のお散歩はいかが?
- お店まで行く時間がないときには、東京スカイツリータウン・ソラマチへ。5Fにある「産業観光プラザ すみだ まち処」でも販売しています。
ライターのおすすめ
店内でいただくもうひとつのお楽しみは、お団子のお皿やお湯飲み。瀬戸焼の寺田みのるさんの作品で、すべて手書きだそう。そのタッチがなんとも趣があるので、お団子を食べたらぜひパチリしてくださいね!
ハタレイコ
九州出身、食いしん坊部屋。美味しい食べ物とお酒が欠かせない性分のPRコーディネーター。日本の伝統文化に興味があり、少しずつ歴史ある街の散策を始めている。
INFORMATION
スポット名 | 言問団子 |
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住所 | 東京都墨田区向島5-5-22 |
ジャンル | 団子、和菓子 |
電話番号 | 03-3622-0081 |
料金 | 言問団子(3個)690円~ |
営業時間 | 9時~18時 |
定休日 | 火曜日 |
備考 | アクセス:東武伊勢崎線・東京メトロ銀座線「浅草駅」から徒歩15分 東武伊勢崎線「とうきょうスカイツリー駅」から徒歩12分 HP : http://kototoidango.co.jp |